事業承継において重要な自社株の評価|対策や注意点は?
事業承継において、自社株の評価は後継者の負担に影響を与える可能性があるため、非常に重要であるとされています。
本記事では、事業承継で自社株を評価する際の対策や注意点について解説していきます。
非公開株式の評価方法
非上場企業の株式は市場価格がないため、国税庁が定めたルールで評価します。
主に、大企業に近い会社は同業他社の株価を基準にする類似業種比準方式、中小規模の会社は会社の純資産額を基準にする純資産価額方式が用いられます。
どちらが適用されるかは、会社の規模や資産状況によって決まります。
評価額が予想以上に高くなるケースが多いため、事業承継の際には事前に正しく算定しておくことが大切です。
自社株の評価を下げる方法
自社株の評価額は、企業の純資産額と、将来生み出すと見込まれる収益力に基づいて算出されます。
この評価を下げるためには、主に以下の3つの方法によって、企業の資産構成や収益構造を調整する必要があります。
方法①役員報酬を引き上げる
役員報酬を引き上げることは、自社株評価における収益力を下げる有効な手段の1つです。役員報酬は法人にとって損金となるため、役員報酬が増加すると、その分だけ企業の課税所得が減少し、結果として将来の収益評価が低くなります。
ただし、役員報酬の変更は事業年度開始から3ヶ月以内に決定する必要があるなど、税務上の厳格なルールがあるため、計画的に実行しなければなりません。
方法②役員退職金の支給
現経営者や役員に適正な役員退職金を支給することも、自社株評価を下げるのに効果的です。
退職金の支給は多額の現金支出となり、企業の純資産額を減少させます。
純資産が減少すれば、それに連動して株価も引き下げられます。
退職金の額が不当に高額と判断されないよう、基準に基づいた適正な金額を設定することが重要です。
方法③株式配当金を低く設定する
会社の株式配当金を低く設定することは、類似業種比準価額という評価方法を用いる際に、株価を低く抑える要因となります。
配当金は株価を算定する要素の1つであるため、配当額を低く抑えることで、株価の引き下げに寄与します。
ただし、配当金の決定は株主総会で承認を得る必要があり、少数株主がいる場合は十分な配慮が必要です。
自社株を評価する際の注意点
自社株の評価対策を実行する際には、評価を下げることと、企業の体力を弱めることのバランスを慎重に考慮する必要があります。
役員報酬の引き上げや退職金の支給は、確かに税務上の評価を下げますが、その結果として会社の資金繰りが悪化したり、金融機関からの借入評価が下がるリスクがあります。
また、株価対策のために資産を過度に減少させた結果、後継者の承継後の経営に支障をきたしては本末転倒です。
したがって、自社株の評価額を下げると同時に、事業承継税制の活用を含めた複合的な対策を、長期的な視点から計画的に行うことが求められます。
まとめ
事業承継における自社株の評価は、後継者の税負担を決定づける重要な要素です。
評価を下げる主な方法として、役員報酬の引き上げや役員退職金の支給があげられます。しかし、これらの対策は資金繰りに影響を与えるため、税務上のメリットだけでなく、企業の財務体力の維持とのバランスを考慮することが大切です。
事業承継をお考えの際は、専門の税理士までご相談ください。
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